大槻さんの備忘録

ふぁぼるぞ

ヒスイ海岸に行った

上の子の春休みということで糸魚川まで行ってきた話。
投稿日時:

上の子の春休みということで、糸魚川の押上海岸(ヒスイ海岸)へ石拾いに行ってきた(もちろん下書き開始当時の話である。この記事を公開した6月まで春休みがあるわけではない)

先に断っておくと、この記事を読んでもヒスイの鑑別方法とか見つけるコツとかは書かれていない。

事前学習

糸魚川は単にヒスイの産出地というだけではなく、さまざまな種類の石が出るということで、ジオパークというものに認定されている。ヒスイ以外にもさまざまな石と出会え、また、フォッサマグナミュージアムではさまざまな石の生まれ方だけでなく、日本列島の成り立ちについても学ぶことができる。

今回はあらかじめ「ひろっこ」というキット――収拾した石を入れるケースや、石の観察に使えるルーペなどをセットにしたもの。通常版は糸魚川駅南口のジオパルでも購入できる――の上位版を購入した。フォッサマグナミュージアムの学芸員で鉱物学を専門にしている小河原理学博士も出演するオリジナルの動画がついてくるものだ。動画内では、いくつかの石を分類してみたり(同梱の「石の仲間分け表」に準じて分類していく)、石のでき方について学んだり、化石の谷での化石探し、ヒスイ海岸でのヒスイ輝石岩探しなどが紹介されたりする。

娘は動画を繰り返し視聴し、自分でも本などを使ってヒスイ輝石やその他の石の特徴・見分け方を熱心に学んでいた。ひろっこのケース(余談であるが、このケースはダイソーで扱っている山田化学のSIKIRIシリーズだ。娘がすでに過去に集めた石を分類するのに同じシリーズのケースを使っており、スタッキングできたのは地味に助かる)にも、あらかじめ「ヒスイ輝石岩」「ロディン岩」などのラベルを自作して貼り付けていた。

また、たまたま春休みに合わせて多摩六都科学館(田無市と保谷市が合併してから久しいが「五都」に改名するつもりはないらしい)でも石に関する企画展が開かれていたので、そちらにも赴き、糸魚川産のヒスイ原石もしっかりと見てきた。

目的地までの道のり

あれだけ熱心に学んでくれたらもう元は取った感があるのだが、もちろん現地で自分で探すという体験もセットでこそである。糸魚川までは北陸新幹線が乗り入れており、東京からは2、3時間ほどだろうか。

目的地の押上海岸は糸魚川駅からさらにひと駅、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインのえちご押上ひすい海岸駅から徒歩数分のところにある。ただ、新幹線の着時刻と合わず、約30分の道のりを歩いて行くことにした。

糸魚川駅の北口を出ると、日本海沿いまでが「ひすいロード」という通りになっている。この通りの歩道には、ヒスイ輝石岩以外のものも含め、さまざまな種類の岩が置いてある。ちょっとした博物館のようだ。しっかりと見て、触って、特徴をインプットしながら歩く。

日本海沿いの国道に出ると、そこからは普通の国道沿いなのだが、道ばたにもそれらしい石がころころと落ちている。きっとヒスイを拾いに来た人が、鑑別しながら歩いて捨てていったのだろう。また、空き地の防草シートが飛ばないように載せられている重石なども、どれもこれも違う種類の石だ。本当に石の種類が多いというのがよく分かる。

そうこうして約30分。ヒスイ海岸に到着した。

体験を通じて学ぶ、ヒスイ海岸

その日は春休みの序盤で、三寒四温の「寒」にあたった。つまり、ちょっと波の高い冬の日本海である。さっむい。新しく打ち上げられた石が集まる波打ち際を探すといいという話に従おうとして、あっという間に波をかぶってびしょ濡れになってしまったのでなおさらだ。

慣れているらしい人なんかは、ずいぶん長いゴム長を履いて、長い竿の先に網などを付けたものを装備し、波にのまれないように石をすくい上げていた。もしもあなたがこの記事を読んで「行ってみるか」と思ったなら、胴長救命胴衣を買っておいてもいいかもしれない。

さて、海岸をよく見ると、大きめの石と細かい石とが海岸線と平行に交互に並び、縞模様ができている。大きめの石のところはそれより海側の細かい石のところより一段高くなっており、何層かの階段状になっている。いや、海岸だけではない。波の下にも同じような縞と段差が見える。どうやら、大きい石や重たい石と、小さく軽い石とが、波の作用によって振り分けられているようだ。これを観察するだけでもずいぶんな学びになる。

ヒスイ輝石岩は比重が高く重いというので、大きめの石があるあたりを狙って探す。硬度も高い部類なので、周りの石よりも角張ってはっきりと面がある白っぽい石を探すといいそうなのだが、それらしい石が多すぎてどれが何やらまったく分からない。本当に分からない。そもそも白っぽくて硬い、キラキラしている、という条件だと石英も落ちているのだ。その日が曇天だったこともあるだろうが、本当に全然わからない。少なくとも「あっ、これはヒスイ輝石岩だ!」と一目で分かるようなことは全くない。

ただ、ヒスイ以外にもきれいな石や珍しい石がごろごろと落ちているので、最終的には「きれいなら何でもヨシ」という作戦になった。小学生にしてみれば、いろいろな石を自分の手で拾って、観察してみることに価値がある。中には黒い石の中に白い模様のあるものなどもあって、「これは泥岩の割れ目に石英が流れ込んだやつだね」「石英のくぼみの中に水晶の結晶がある」など、事前学習した内容をしっかりと体験に結びつけていた。

結局ヒスイはあったのか?

30分の道のりは遠いので、戻りは日本海ひすいラインのタイミングに合わせて切り上げることにした。そうして糸魚川駅へ戻ったら、次に向かうのはフォッサマグナミュージアムである。残念ながらその日は平日、石の鑑定サービスのない日だった(ついでにいうと、化石の谷もまだ冬季休業中だった。ニュースになっていたラピスラズリは見ることができた)のだが、ミュージアムには鑑別済みの各種の石の見本が置かれた「セルフ鑑定コーナー」がある(バーチャルツアーだと置かれていないので、もしかしたら鑑定サービスがない日だけ用意されているのかもしれない)

ここで、拾ってきた石と見本の石とを見比べたり、さわり比べたりしてみる。一番の特徴は独特の手触りのような気がする。滞在時間いっぱいを使って、拾った石をあれこれと分別してみる。娘が事前にケースにラベルを付けていたおかげで、明らかに正体の分かった石や貝殻はその正体が分かった状態で持ち帰れた。正直、鑑別済みの石とさわり比べないとどれがどれだか全く分からないので、ラベルがなければ帰宅後はもうどれが何やら分からなくなっていただろう。

というわけで、その場では鑑別しきれなくても「この手触りはヒスイ輝石岩っぽいんじゃない?」というという程度の石が1つはあったのだが、確定には至らず帰宅した今は見ても触ってもよくわからない。本当に分からない。娘は「次は鑑定サービスのある日を狙って、朝から抽選に参加できるよう金曜発で行こう」と、すでに2回目を楽しみにしている。よい旅行であった。