MCOM.COMが生きている目的のひとつは、当時のNetscape Navigatorを正常に動作させつづけることらしい。

home.mcom.comが生きている理由を知ったので書いておく。
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タグ: メモ 寝言

過去に触れたことがある、home.mcom.comをはじめとするMosaic Communications時代のサイトについて、最近、その存在目的を知ったのでメモしておこうと思う。

DNSレベルで見ると、home.mcom.commcom1.jwz.orgへのエイリアスになっている。そう、かの有名なJamie Zawinskiのサイトだ。

それを手がかりに検索すると、home.mcom.comを復活させたときのアナウンスや、その後一時的に利用できなくなり、現在のjwzがホストする方式へ移行した際の記録が見つかる。

そこに書かれていることによれば、どうやらある時期のバージョンのNetscape Navigatorは、これらのドメイン配下の特定のページを開く固定のボタンを持っていたらしい。単にサイトを永久保存するだけでなく、それらボタンの機能性を回復させる、というのが目的のひとつだったようだ。

ソフトウェアやデータの寿命の問題

特定の通信などを必要とするソフトウェアの寿命の担保は難しい。

僕はAdobe Creative SuiteのCS2.3、CS3、CS5.5、CS6の正規のラインセンスを持っているが、認証サーバーが停止されているため、もはや新規のインストールは行えない(CS3は一時的にライセンス認証不要版が配布されはしたが、取得するのを忘れていた)。

先日、CubaseでもeLicenserの廃止のため、旧バージョンのユーザーはSteinberg Activation Managerを使うバージョンへの移行を求められた。

プロプライエタリなファイルフォーマットを利用するこれらのアプリで作成された過去の資産は、永続ライセンスを購入したはずなのに、新バージョンを導入しなければ開くこともままならない。データが生きていても、開くことができないのであれば、そのデータは失われたのと同じなのだ。

あるいは、古いバージョンのOSやソフトウェアは、サポートしているTLSのバージョンが古く、現代のHTTPSサーバと通信ができない。

あるいは、電子署名の期限や方式の問題で頒布が終了した例もある。

ライセンス認証がない時代、インターネット通信が動作に必須でない時代の古いソフトウェア――たとえば僕は、Windows 11 Proで「デジタルプラレール」を動かしている――であれば、むしろ今でも動作するのに。

僕の古い資産の中には、Paint Shop Proで作成されたファイルもある。これも新しいバージョンのOSへ対応させるために何度かバージョンアップをしたが、今はX9をそのまま使い続けている。Corelは当該バージョンのサポートを終了しており、ライセンス認証サーバーも停止していたのだが、サポートに問い合わせたところライセンス認証不要版を送ってくれた。これはまれな例だろう。

本当に、デジタルデータというものは、コピーが異常なまでに容易であるにも拘わらず、その寿命というものがまるで読めない。むしろ、失われやすいとすら感じられる。

Webサイトとて、それは同じだ。

だから僕は、自分のブログをここに集めたし、寿命をコントロールできない外部ソフトウェアに依存せずに中身を開き続けられるよう、静的サイトを選んだWayback Machineに保存してもらえるよう、クローラも一切弾いていない(昨今問題になっているAIですら!)。

うん。やっぱりdeviantARTに置いてあるコンテンツも、まずは保全を図ろう。自前のサイトに移るということは、コミュニティとの繋がりを失うことでもあるけれど、それでも僕は、僕のコンテンツを保全しておきたいから。