Endeavor AT20で遊ぶ
もう1年半は前の話だろうか。NTT-X StoreでEPSONのEndeavor AT20が安くなっていたので買ってみた。当然今はもう在庫がないし世代も交代しているので、今だったらST55EかST60Eがいいと思う。HDMI CEC使ってモニタと電源連動できたりするので、キオスク端末的なやつとかでもそこそこ使い出はあると思います。
まぁざっくりしたスペックはリンク先見てもらうとして、今回購入した構成は「Core i3-10100T/8GB/SSD256GB/光学ドライブなし/有線LAN/Windows 11 Home/約45.0x184.7x195.0mm(突起部除く)/マウス・キーボード・縦置きスタンド付属」のEHC24195とのこと。
OSがHomeの時点でもうそのまま使う気はさらさら無い。
では、OSを何に入れ替えて、何に使おうというのか?
用途(ただしセットアップせずに放置中)
そう。こいつこそが、過去の記事で何度か出てきた「なんか一旦WS2012 R2入れて、2025にインプレースアップグレードして、ごちゃごちゃ苦戦して結局ワイプして入れ直して、そのまま放置しているやつ」である(こっから先の記述がだいたい胡乱で写真がないのも放置しているせいである)。
まったくもってサーバークラスのハードウェアではないが、モニタ裏にマウントしてサイネージ利用される程度のことは想定されているだろうと信じて、AD DCを載せるつもりであった(大槻さんは昔サーバー1台のみの状態でAD DSを組んで、唯一のDCであるサーバーが物理障害を起こしてひどい目に遭ったことがある。みんなもDCは冗長化しよう)。
見た目通り、拡張性はまずないが……
さて。CoreインストールとはいえVMとして載せる(つもり。まだ手を付けていない)ということで、RAMが8GBではあまりにも心許ないので32GBのモジュール(これが前の記事で触れた奴なんだが、もはや入手不能なのか……N100系とかでまだ需要ある規格のはずなんだが……あ、そうかコイツから抜いた8GBモジュール使い回せば良いのか)を取り付けるべくサクッと開腹。ついでにどんなソケットやピンが用意されているか、ざっと検分してみた。
基板自体は上位機種のST200Eと共用のようで、実装する部品で分けられているっぽい。両者はチップセットがH510とB560で異なるのだが、これらのチップセットがわりとピン互換なのか。
パターンだけあって未実装のポートは、SATA_1(プライマリがSATA_0)とDIMM_2(実装されているのはDIMM_1)、VGA、USB、セカンダリLAN。当然ながらそれらのポートに繋がるチップコンデンサやコントローラなんかも省かれていて、ここに何か付け足して使えるようにするのはちょっと無理そう。
SATA_1用の電源ケーブルはSATA_0用電源コネクタから分岐する形で生えていた。「使う部品自体は極力共通化しつつ、不要な部品を省く」の姿勢がここにも見える。ただし5Vしか結線されていない。
幸いにも、NGF_PCIEと書かれたM.2スロットはきちんと実装されていた。あと、Wi-Fi/Bluetooth用のAX210を挿すためのM.2スロットが別途ある。
M.2 NVMe SSDでのブートもOK
NGF_PCIEというスロットがあるということは、NVMeが使えるということだろう。ネジの位置を確認すると2280だったので、適当なSSDを見繕って購入。
早速組み込むと何の問題もなく認識したのでWindows Server 2012 R2をインストールするも、インストールプロセスの中で再起動するとNVMe SSDを見失う。一度電源を切って入れ直すと認識してブートする。なぜ。
うーん、と思いつつBIOS設定を見回していると、APMのGlobal ResetがDisabledになっていた。こいつをEnabledにすると、ソフトリセットでもきちんとNVMe SSDにリセットがかかって毎回正常に起動できるようになった。というわけでAT20はNVMeでブートできます。今から買う人いないと思うけど似たような局面自体は他の機種でもある予感がするのでご参考まで。
HDMIの解像度ネゴシエーションが微妙……?
ところで上記のBIOS設定やセットアップ作業の際、HDMI出力を4K対応のKVMスイッチや1280x800のモバイルディスプレイにつなげたりすると、何故か映像が出なかった。1080pなテレビに直結すると映る。
あんまり機材がないので詳しい検証のしようもなく、AliExpressで1080pのEDIDエミュレータを購入。KVMスイッチの手前に噛ませることで映像が出るようになった。
余談だが、EDIDエミュレータがあると接続が切れてもモニタがあると思い込ませられるので、「HTPCでKodi立ちあげっぱなし・HDMIスイッチで切り替え」みたいなときに画面設定がリセットされなくて済む。結構便利だこれ。
NICを付け足す
AT20のNICはIntelのI219-Vの(14)……この数字はたぶんリビジョンだと思う。Windowsから見えるデバイスIDでいうとPCI\VEN_8086&DEV_15FA&SUBSYS_02091B0A&REV_11。表示名でいうとIntel(R) Ethernet Connection (14) I219-V。こいつ、Windows Server 2012 R2だとすでにIntelからサポートが切られていて、ドライバが入らん。(7)までなら提供されているのに……。というか、Intelのダウンロードセンターではこのリビジョン?的なので分けて扱ってくれていないし、大抵のM/Bのスペック表にもそこまで書いてないので罠が過ぎる。
とにかく。このままでは通信できないので、NICを足したい。できればUSBは避けてPCIEのカードを挿したい。
AX210用のM.2スロットにはPCIEとUSBが出ているはずなので、ここにNICを接続することを考えた。そういう謎パーツはAliExpressの得意分野だ。いろいろ検索してみると、M.2からPCIEを引き出すライザーカードだけでなく、M.2 2230に直接挿せるNICも存在していた。
ライザーカードのほうがいろいろと使い出はあるのだが、PCIEとUSBを駆動するために別途5V/12Vの電源供給が必要だった。前述の通り5Vしか取り出せないのであきらめ、M.2のNICを選ぶことにした。
Windows Server 2012 R2向けのドライバが提供されていることを確認し、RTL8125Bを搭載するNICを購入。M.2スロットの配置的に高さが出るとSSDと干渉する恐れがあったので、カードエッジから外に向かってケーブルが出るもの。さらに、スロットに近いフロントパネルに穴がないのでケースの隙間から取り出すつもりでフラットケーブルを採用していたものを選んだ。
………というわけで、ケースの隙間を無理矢理通して組み上げ、絶縁のためにカプトンテープをぐるぐるした状態がこちら。後ろが散らかってるのは無視してもらえると嬉しい。
見てくれは悪いが、とりあえずここにLANケーブルをぶっ挿すことで無事使えるようになった。
これでハードウェアとしては完成形。あとはもうWindows Serverの構成の話であってこの機種固有の話ではないので、今回の記事としてはとりあえずこの辺で。